自尊心を高める方法
-- 目次 --自尊心とは
心理学で言う自尊心とは、「self-esteem」の訳とされ「自分が他人から受け入れられ、尚且つ自分の存在を価値あるものとして肯定するという心」の事です。
一般的な自尊心とは「自分の思想や言動などに自信をもち、他からの干渉を排除する態度」となっており、心理学で言う自尊心とは少し違うニュアンスで使われる事もあります。
心理学の観点で言うと、自尊心は高ければ自分をしっかりと持っていられるといえます。
逆に自尊心が低いと、自分を見失い様々な悩みにつながっていきます。
心理学的には自尊心は高ければ高いほどよいということです。
自尊心は小さい頃に両親又は家族との関わりの中で成長していきます。
自己の存在がどういうものなのかを人との関わりの中で感じ、それを認めることで自尊心が高まっていきます。
無償の愛情を受けていたか?出来るようになったことを褒めてもらったか?生まれてきた事に感謝されたか?など、正しく愛情を注がれていたかで自尊心の成長度合いは変わります。
また、その人の気質も関係していると言われています。
例えば、内向的な気質と外交的な気質の子供では自尊心の育ち方や成長スピードが変わっていきます。
どちらがいいとは言えませんが、自尊心の成長には個人差があるということです。
自尊心は心理学者 ウィル・シュッツ博士(Will Schutz)による提唱だと、
○自己重要感(Self-Significance)
○自己有能感(Self-Competence)
○自己好感(Self-Likability)
の三要素から構成されるとされています。
自己重要感は周りから大切にされ必要とされていると感じることです。
これは、大切にされていると感じると高まり、無視や放置をされると低くなります。
自己有能感は自分の能力が認められ、役に立っていると感じることです。
これは、褒められたりすると高まり、馬鹿にされたりすると低くなります。
自己好感は好かれていると感じることです。
これは、好かれ受け入れられていると高まり、拒絶されたりすると低くなります。
それぞれの強さは個人差がありますが、3つの満足感が満たされている状態が自尊心を高く持っているといえるでしょう。
尚、それぞれの満足感が現実とは違う妄想や自己誇大感だけの場合は、自尊心が高いとはいえません。
例えば、自分は最善の努力をしていて充分だと思っていても、周りには結果が伴なっていないと思われる場合は正しい満足度ではありません。
また、相手は居てくれるだけで充分だと思っているのに、自分は役に立っていないと感じる事も正しい欲求ではありません。
現実に沿った満足感を持つ事が大切なことです。
自尊心は、一般的な生活や人間関係、仕事などに影響を与えています。
また、うつ病などの精神疾患などにも影響を及ぼすと考えられています。
自尊心は、人が生きていく上で重要な役割を担っているのです。
まずは自分の自尊心を計ってみる事もいいかもしれません。
○自尊心を数値で見るサイト
https://自尊心.com/
自尊心に似た概念
プライド
プライドとは、「誇り」という意味で用いられます。
自尊心と近い使われ方をしますが、心理学的には少し違う意味で使われます。
「プライドが高い」というとあまり良い印象ではありませんね。
自己主張が強くて傲慢というイメージではないでしょうか
「プライドを持っている」というと、信念のようなものを持って自分らしく行動するようなイメージです。
「プライドが無い」というと、優柔不断で決定力が無い印象です。
と言う事はプライドは高くても低くても良くないということです。
自尊心は高ければ高いほど良いとされているので、その点でプライドは自尊心とは別の意味を持っていると考えられます。
自信
自信とは自分の能力や結果を信じるという気持ちの状態です。
自分の納得がいく成果を挙げることによって積み重なっていきます。
自信自体は主観的な尺度で計られる為、客観的な尺度からずれる場合があります。
「自信過剰」などは自分を拡大解釈している状態と言えます。
自尊心との違いは、尺度のズレにあります。
自尊心が高い場合、主観的尺度と客観的尺度のズレがほぼない状態になるからです。
自己愛
自己愛とは自分に対しての愛情です。
自分を大切にするという部分では自尊心と通じるものがありますが、自己愛が強いままでいると自分に対しての誇大感があり、自己中心的な言動をしたり、極端に傷つく事をおそれたりします。
また、極端に自己愛が無い場合には自主性がなくなり、他者に依存したりする傾向があります。
自己愛は、生まれながらに強く持っているもので、成長と共に程よいところまで弱まっていくものと考えられています。
このように自尊心と近い言葉は色々ありますが、交錯する部分があっても違うものです。
上記にあげたものは高くても低くても問題が生じるというものですが、自尊心は高ければ高いほど良いものと考えます。
それは、自尊心が高い=様々なバランスを上手くとれるということだからです。
自尊心が低い人の特徴
自尊心が低い場合、様々な問題が起こります。
コミュニケーションが上手く取れない、自己向上心が湧かない、自己否定・他者否定が強くなるなどの状態に陥ります。
これは、生活に良くない影響を与えてしまいます。
では、自尊心が低い人の思考や考え方の特徴を見ていきましょう。
自己判断が出来ない
自尊心が低い場合、自分の感情や思考に自信が持てず、自己判断が出来ない場合があります。
また、悪い結果ばかり想像して判断を鈍らせるという傾向もあります。
これにより、判断を他人任せにするような依存が発生したり、「他人の気持ち=自分の気持ち」のような他者との境界線がわからない状態になることがあります。
また、相手の判断や考え、望みが自分のものだと思い込む傾向があります。
自己中心的になる
自尊心が低い場合、他者を見ようとせず自己中心的な言動になる事もあります。
自己評価のみで物事を見て客観的な見方をしないためです。
また、他者からの批判に対して過敏に反応し、自分の主張を押し通そうとする傾向にもあります。
自分を過大解釈したり、必要以上に強く見せようとするためです。
自分を正しく受け入れていないというのは自尊心が低いからです。
自己否定感が強い
自尊心が低い場合、自己に対する過酷な批判が強くなります。
悪い部分を過大評価し、良い部分を過小評価する事もあります。
これは、自分の位置を下げる行為で、極度な謙遜ともいえます。
日本では謙遜の文化が強いため、無意識的にこの社会通念を自分の尺度にしている傾向を持つ方が多くいます。
ですが、過剰に自己否定が強くなると、自信をなくし自尊心が低くなってしまいます。
被害者意識が強くなる
自尊心が低い場合、悪い事は自分以外の何かが原因だという考えに捉われやすくなります。
自己防衛を無意識に行い、他者を批判することによって自分を守ろうとするためです。
その結果、「悲劇のヒロイン」のような立場に自分を持っていくことになります。
原因が他者の問題だと考えるので、自己反省が出来ず同じ状況になっても問題を解決する事が出来ない状態になります。
極端な考え方や捉え方をする
自尊心が低い場合、物事を極端に捉える傾向があります。
白黒主義で物事を捉えるので、現実的な認知とは離れる場合があります。
結果的に過度な自己否定や他者否定、極端な回避などをすることとなります。
他者否定が多くなる
自尊心が低い場合、自己の満足感がなかなか得られないため、他者を批判し自分を高く認識するような傾向があります。
他者を批判している自分はその他者より優れているという満足感を得ようとするためです。
自分が何かをしても満足感が得られないようなケースで多く見られます。
自尊心が高い場合のメリット
自尊心が高いというのは様々な意味でバランスが取れている状態です。
自分を過度に否定することなく、誇大感を持つ事もありません。
かといって何も考えない訳ではなく、自分の悪い所を受け止め改善をする方法を考える事も出来ます。
また、他者に対しても過度な否定も肯定もしない状態です。
自分にも他人にも尊厳を持って対峙できている状態です。
それによって下記の様なメリットが生まれます。
不安を感じることが少なくなる
不安とは、物事に対して「わからない」時に出てくる感情です。
相手がどう思っているか不安、自分の将来が不安など、その事象が不安を生んでいるのではなく、その先を想像してわからないから不安という感情が出るのです。
不安は大きくなると思考を低下させたり、身体に影響を出す場合もあります。
自尊心が高い場合、わからないことに対して客観的で多角的な見方をします。
そうすることによって、完全にわからないまでもある程度の予測が可能になります。
予測が出来れば対策も考えられます。
結果、不安が薄まり感情が楽になります。
自分が否定されたときに柔軟な対応が出来る
相手の意図に関わらず、否定的なことを言われると感情が傷つきます。
これは少なからず誰にでもあることで、自尊心が高い人でも傷つきます。
ですが、自尊心が高い場合「否定された=自分はダメだ」となりません。
自分のダメな部分も認める姿勢があるので、自分の一部が相手にとって良くなかったと考える事が出来ます。
自分の一部がダメでも、自分全てが悪い訳ではないと捉えます。
そして、その悪い部分を改善することが得策だと考える事ができます。
そうすると、相手の言っている事に対して柔軟に対応が出来ます。
精神的に自立できる
自尊心が低いと自分に自信が持てず、周りからの影響を強く受けてしまいます。
そうすると、他者に同一化してみたり、依存してみたりしてしまいます。
結果、精神的に自己を確立できず、他者評価が主となる自分になってしまいます。
自尊心が高いと、自分を認め他者も認めることが出来ますので、相手との境界線をしっかりと持つ事が出来ます。
たとえ自分と同じような考えを持っている人だったり、逆に全然違う考えを持っている人でも認めて肯定することが出来るからです。
それにより、客観的で事実に基いた自分を確立できるので、精神的に自立することとなります。
自尊心が低い原因
自尊心が低い原因は幼少期の環境が大きく影響しています。
人は自尊心を得ようとする欲求があります。
その動機が元になって行動をし、成功体験や満足感が得られると自尊心が高くなっていきます。
逆に、成功体験や満足感が得られないと自尊心が育たないこととなります。
但し、失敗体験や負満足感が全く無い場合は、自己誇大になる事もありますので注意が必要です。
ここでは具体的な自尊心の低さの原因を見ていきましょう。
自分らしく出来ない抑圧があった
自分がしたいことに対して努力し達成した時は大きな満足感があります。
ですが、押し付けられた目標や社会通念的な目標で、「自分がやりたい事ではない」ことを達成しても本当の満足感が生まれません。
また、その満足感が本当の満足感だと思い、歪んだ自尊心(例えば誰かのために達成するという満足感など)となる事もあります。
自分らしく出来ない抑圧があった場合、本当の満足感が体験できず、自尊心が正しく育たない傾向があります。
無償の愛情を受けられなかった
無償の愛情が受けられなかったというのは、逆に言うと「条件付の愛情を受けてきた」ということです。
条件付の愛情だと、その条件が評価の尺度となってしまいます。
『学校のテストで100点をとらないと愛されない』『親の手伝いをしないと愛されない』と感じた子供は、「何かをしなければ愛されない」と思い込みます。
そうすると外部の影響を受けやすくなり、自分を自分で認めるということが出来なくなります。
結果、他者に依存して自尊心を高めようとする傾向になり、正しい自尊心が育たなくなります。
挫折を乗り越えようとしなかった、又は挫折することがなかった
挫折を経験すると精神的なダメージを受けます。
その時に、過保護にされたり、回避をしていると満足感がいつまでも得られません。
自分が出来なかった事が出来るようになるという経験は自分への満足感になります。
失敗からの成功体験でも自尊心は育つという事です。
また、挫折を経験していない場合、外部の評価を比べることが少なくなります。
その回数が少ないと、自分を評価する基準が正しいものとなりません。
多くの基準や評価を知ることで、現実に沿った尺度というのがわかるからです。
現実に沿っていない尺度での自己評価は自尊心を正しく高める事が出来ません。
感情に蓋をしてしまうようなトラウマがあった
子供は自分の気持ちを押し通そうとわがままを言います。
これは健全な言動で、成長と共に状況と折り合いをつけながら自分らしく生きていく方法を学びます。
誰もが最初は自己中心的な部分を持っているものです。
ですが、早い段階でこの感情を否定されたり抑圧された場合、感情に蓋をしてしまい自尊心を得たいという欲求自体を心の奥底にしまってしまう事があります。
無意識下で、自尊心を得る事がいけないことだと考えるケースもあります。
こうなると、自尊心を得ようとする事が出来なくなり、行動の動機や生きる意味を見失ってしまう事になってしまいます。
自尊心を高める方法(自分に対して)
今の自分がいる位置を再確認する
自尊心を高めるためには、現実に基いた尺度で自分を評価し、それを受け入れるということが必要です。
そのためにはまず、今の自分を正しく認識する必要があります。
それは、自分を自分の尺度だけでなく、客観的で多角的な視点でも見るということです。
そして、広い目で自分がどの位置にいるのかを知ることで、ありのままの自分を認識する事が出来ます。
自尊心が低いと、ありのままの自分を受け入れるのではなく、自分の理想と今の自分を比べて悲観的になってしまいます。
ですが、理想とはあくまで未来の自分であり、今の自分は現実です。
そもそも比べる物が違っているのではないでしょうか。
今の自分の存在が自分的にはどの位置にいるのか、他人からはどの位置に見えているのか、世間的にはどの位置にいるのかを考えてみましょう。
そして、その位置が良い悪いではないということを知ってください。
人はどの位置にいてもそれが現実で、その場所を変えていくのは自分次第なのです。
こちらで自分の性質を知ることが出来るエゴグラム心理テストがあります。
性格診断
精神分析を元に自分を知る事も自己認識をする上で大切です。
重荷になっている仮面を外す
多くの人は、他者からの評価を気にするあまり、背伸びをしたり見繕ったりするための仮面をかぶります。
そして、その仮面が重荷になっている場合は自尊心が低い状態だといえます。
この仮面自体は、良いものでも悪いものでもありません。
上手に使うことによって様々な場面を円滑にするメリットもあります。
ですが仮面が自尊心を高める邪魔をしていると問題となってきます。
自分で作り出した仮面が、自分と大きく不一致になっていると、仮面に対しての評価が高くても満足感が得られないことがあるからです。
これは、誉められたりしても自分の重荷になっていきます。
これでは、自分を認める事は難しくなっていき、自尊心が低くなっていきます。
自分と大きく不一致している仮面は徐々に外していく事が必要です。
人の評価と自分の評価を均等にする
自尊心が低い場合、他人の評価ばかり気にしたり、又は自分の評価でしか自分を評価しないという事が多くあります。
これは、無意識に自己防衛をするために、都合の良い尺度を優先してきたせいと考えられます。
ですが本来は他人の評価も自分の評価も平等に取り入れていかなければ現実的な自己評価にはなりません。
結局、バランスを崩した自己評価は充分な満足度を得られませんし、余計なマイナス感情を生むことになります。
では、他人の評価と自分の評価を均等にするにはどうしたらよいでしょうか。
それは、人の意見を客観的に捉え、考える事が必要かと考えます。
自分の評価が優先される場合は、他人の評価が否定的に聞こえている人です。
逆に他人の評価を優先している場合は、在りのままの自分をわからない又は見失っている状態です。
どちらにもいえるのが他人の評価をゆがめて捉えているという点です。
これでは、現実的な評価にはつながりません。
大切な事は、他人の評価をそのまま受け取り、自分の評価とすり合わせる作業が必要だということです。
そのためには、多くの意見を聞き入れ、それぞれの理由を考える事が重要です。
良い所も悪い所も見る
自尊心が低いと、一つの事に注目してその他のことが見えなくなってしまうことがあります。
極端になった捉え方は、他者を批判したり自分を批判したりする結果となってしまいます。
では、捉え方が極端にならないようにするにはどうすればいいでしょうか。
最初に感じたことを疑ってみる方法があります。
一つのやり方としては、自分にとって嫌な所がある他人の「良い所」も見てみましょう。
例えば、カンニングをして良い点を取ったクラスメートがいます。
頑張って良い点を取った人は納得いきませんね。
納得が出来ないのは、その人と自分を比べて自分が損をしているような気になるからではないでしょうか。
ですが、カンニングをした人の気持ちを考え、その人の理由を考える事が大切です。
もちろんその行為を許すという訳ではありませんが、カンニングをして良い点を取った人が本当の満足感を得られるでしょうか?
また、その行為は良くないものですが、良い点数を取りたいという意思がある事は悪い事ではありません。
その方法が自分とは違うだけなのです。
「カンニングをした人=悪い人間」ではなく、「カンニングをする悪い部分がある人」と考える事が大切です。
尚、自分の努力と結果に満足をしている人(自尊心が高い人)は、他人がどのような行為をしたかよりも、自分の出来た事、出来なかった事に注意が行きます。他人がズルをして得をしてもそれが本当の得だとは考えません。
カンニングをした人と自分を比べる必要もありませんし、自分が損をしているわけでもないと考えるからです。
感情に振り回される前に理由を考える
人は反射的に物事を捉え、感情を抱きます。
そして、その感情は自分にとって正しいものです。
ですが、その感情に振り回されているのならば、少し工夫が必要です。
例えば、「あなたは空気が読めないことがあるよね」と言われたとしましょう。
感情的には傷つきますね。
自分を振り返り色々なことを考えるでしょう。
ここで自尊心が低い場合、自分を酷評するか又は相手に対して攻撃をしたくなります。
ですが、そこで少し立ち止まって下さい。
相手は自分に対して素直な評価を言っています。
それを、その時の感情だけで回避や攻撃をしてしまうのは早まっている行為ではないでしょうか。
なぜなら、相手の言っている確たる証拠を自分は認知していないからです。
相手から批判されてそれによって傷つくという事は、自分ではその部分を知らなかったということになります。
上記の例だと、自分が空気を読めないとは思ってもいなかったということです。
逆に言うと、自分が空気を読めないと認めている人はそれ程感情が傷ついたりしません。
自分でそういう部分があると認めて受け入れているからです。
もし、傷つくという場合は、自分が空気を読めないのかをちゃんと検証しなければ、その言葉を素直に受け入れる事は難しいでしょう。
言われて傷ついたままで終わってしまいます。
ですので、まずはその相手になぜそう感じたのか聞いてみることが大切です。
相手の勘違いかもしれませんし、自分が気付かずにいたことかもしれません。
それを知れば、相手の評価と自分の評価のズレを修正する方法を考える事が出来ます。
そのズレを放置しておくと、現実的な評価から逃げる事となるので自尊心が高くなる事はありません。
まずは、評価の証拠をちゃんと知ることが大切です。
ちなみに、あなたが傷つくような事を言う人は、ひょっとしたらあなたにとって自分を素直に評価してくれる貴重な人かもしれません。
以上が自尊心を高める方法となります。
常日頃の行動で出来る事をやってみましょう。
大切なのは、物事を様々な視点で考えるというクセをつけることです。
感情に任せて、回避したり攻撃ばかりしていては自尊心は育ちません。
いつもの嫌な感情が出てきたら、深呼吸をして一度立ち止まって考えるようにしましょう。
自尊心はいくつになっても成長し高める事が可能です。
少しずつ出来る事から行っていくことが大切です。
自尊心を高める方法(子供に対して)
子供の自尊心は、まだ出来る事が少ないので自分自身で高める事が難しい傾向にあります。
基本的には周りからのアクションで自尊心を高めていきます。
そこで、ここでは子供の自尊心を高めるために大人が出来る事を考えていきましょう。
子供の目線で評価し、誉める
大人は時として、大人の尺度で子供に相対する事があります。特に親子だとどうしても自分の願望が入ったりして評価が厳しくなってしまうものです。
ですが、大人と子供では状況がまるで違います。
大人は常に子供の目線で子供を評価しなければなりません。
子供はできることがほぼゼロから成長を始めます。
少しずつ色々なことが出来るようになっていきます。
それは、未体験の事を恐れず立ち向かっているということです。
大人から見れば大したことではないことでも、子供にとっては大きな努力が必要なことがほとんどです。
大人は子供が努力した事を敏感に感じとるようにしなければなりません。そして、それを誉めると子供の自尊心は高くなっていきます。
自分がしたい事の結果を誉められるという事は、自分自身を認められていると感じるからです。
適度な失敗体験をさせる
自尊心は成功体験から成長していくものです。
成功体験をすることによって周りから評価され、自分自身も満足感を得られるからです。
ですが、成功体験ばかりでは、自分も周りもそれに慣れてしまい充分な満足感が生まれなくなっていきます。
自尊心を高めるためには適度な失敗体験も必要ということです。
そのためには子供が少し無理をするような経験をさせる事が大切です。
大人としては心配になってしまうかもしれませんが、子供の自尊心を高めるためですのでこらえる事が必要です。
努力しても失敗をすることがあり、それを教訓にすることができるようになれば、大きくなったときに自分自身で自尊心を高める方法を習得する事につながります。
また、失敗をしてもその後に成功する喜びや満足感を経験する事は精神的な強さにもつながります。
但し、極端に無理な失敗体験では、子供がどうしていいか分からなくなってしまうので大人は注視しなければなりません
時にはしっかりと叱る事も必要
前述した通り、自尊心を高めるためには子供を誉めるという事が必要と書きましたが、時には叱る、注意するという事も大人が行わなければいけないことです。
子供は、色々なことに興味を持ちチャレンジしようとします。
そして自分が出来る事が増えることにより満足感が生まれ、自尊心が育っていきます。
ですが、時として子供が出来るようになったことが、人に迷惑をかけることだったり、自分を傷つけることになることがあります。
例えば、子供がボールを投げられるようになったとしましょう。
子供が新しい事が出来るようになったので誉める事が良いかと思います。
ですが後日、そのボールを他人に向けて投げました。相手は見ておらず不意にボールがぶつかります。
子供の投げたボールなので大事にはなりませんでしたが、ボールを人に向けて投げる事は良くないことです。
このような場合は、子供に対して注意をする必要があります。
そして、ここで気をつけたいのが、叱る理由を明確にすることです。
ただ叱ってしまうだけだと、以前誉められたボールを投げる事が、叱られるような行為だった。という矛盾が子供の中で生まれる可能性があるからです。
小さい頃だと言葉で言っても理解できない事が多くあります。
ですので、その後に正しくボール遊びをして、また誉めるという事が必要です。
子供はその繰り返しで、なにがやって良い事でなにがやってはいけない事かを自然と学びます。
それがわからず成長してしまうと歪んだ自尊心が芽生えるきっかけになることがあります。
大切なのは、子供が大人の反応に矛盾を抱いたままにしないという事です。
無償の愛を与える
無償の愛とは見返りを伴なわない愛のことです。
子供は、何も出来ない状態で生まれます。
自分を守るすべはなく、周りに頼ることしか出来ません。
これはごく自然な事で、誰しも経験していることです。
そして大人は、その何も出来ない子供の世話をしなくてはなりません。
子供は何も出来ないので、大人がその子供に愛情を注ぐという行為はこの時点では無償の愛といえるでしょう。
子供はその時は恩を返そうにも返せませんので。
ですが、時間が経つと大人にも欲が出てきます。
見返りを求めるようになってきます。
例えば、子供が大人を認めることによる大人側の満足感です。
子供を自分の思い通りにさせようとしたり、大人の言う事は絶対だというような刷り込みを行うなどがそれにあたります。
また、大人はこのようなことを無意識に行っていることが多く見られます。
子供はそのような事をされると自分を見失ってしまいます。
自尊心も正常に育たず、傷ついたままの状態で大人になってしまいます。
子供のためを思うならそのような事にはなってほしくはありませんね。
自分の自尊心を満たそうとするのではなく、子供のありのままを認めることが大切です。
大人が自尊心を高める努力をする
「子供は親の背中を見て育つ」という言葉がありますが、自尊心を育てる時にもいえる言葉です。
自尊心の高い大人を見て育った子供は自尊心を高く持てるようになります。
これは、単純に子供が大人から吸収する力が強いからです。
逆に自尊心が低い大人を見て育つと、それが当たり前になり自尊心を高く持つ事を邪魔する事があります。
反面教師にしてそうはならないケースもありますが、子供は大人がやっている事を素直に吸収してしまうものです。
子供の自尊心を高めたいのならまずは周りの大人が自尊心を高める必要があります。
ちなみに、子供の自尊心を育てようと思う事は、実は大人側の自尊心が低いからかもしれません。
その裏には、自分のようになって欲しくない、あの人のように立派な人になってほしいという願望を子供に背負わせている可能性があるからです。
子供に何かを背負わせてしまうというのは大人側の自尊心が低い証拠ではないでしょうか。
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